「何て日だ!」シャープを鴻海(ホンハイ)に身売り?

 シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買われそうである。シャープの公式ツイッターは「何て日だ!」とつぶやいたという。内の女房も怒っている。「シャープが中国に乗っ取られていいの?」と。 私はこの状況がよくわからないので、「鴻海(ホンハイ)は台湾の企業だから、中国に乗っ取られる訳じゃないよ」とお茶を濁している。

 いつもの宮崎正弘氏の発行するメルマガが届いた。「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」だ。ちょうどタイミングが良く、シャープと鴻海交渉を扱っていた。
これを読むと「こりゃあ大変だ」という気になった。国会の予算委員会で安倍首相は清原の覚せい剤逮捕のことでコメントを求められたり、民主党のバカ議員が「スイスのチャーシュー麺1杯いくらか」と首相にクイズを出したりと呑気なことをやっているが、「シャープが台湾・中国企業に乗っ取られようとしている。安倍首相、それで問題はないのか」ぐらい聞いてほしいものだ。
ああ間違った。売国民主党、親中民主党がそんなことを質問するわけがないのであった。

 さて、「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」に何と書いてあったか。

平成28年2月5日(金)
 シャープを中国に売り渡して良いのか。しかし鴻海(ホンハイ)は買収金額の7000億円を用意できるのか?

 今後一ヶ月以内に結論が出る。シャープが中国資本に乗っ取られるのか、日本の再建機構(「産業革新機構」)で落ち着くのか?
 前者鴻海の買収金額は7000億円、後者は3000億円である。実は1月末に、シャープは「産業革新機構」の買収案をいったん受け入れたのだが、鴻海が金額を上積みし、なおかつ条件をシャープ側の要求に沿ったものにしたからである。
 5日に急遽来日した鴻海の郭台銘社長は、四つの条件を示した。
(1)事業売却はしない
(2)シャープのブランドは守る
(3)従業員の雇用も守る
(4)首脳陣の退陣は求めない

騙されてはいけない。約束をすぐに反古にするのは中国人の得意芸、朝飯前のモラル破り。守られるのはブランドを維持するという項目くらいであろう。暖簾代は、鴻海が世界的にはまだ名前をしられないからでもある。
 しかしもっと根本的な疑問がある。
果たして7000億円という大金を鴻海精密工業は用意できるか、否か。出来ないとすれば背後に中国の工作資金の目処があるのではないか?つまりハイテク技術の合法的取得と優秀なエンジニアの確保である。あるいは既に銀行団に対して、これから買収するシャープの資産を担保に金を借りるという手口もある。
 
ドライな米国のM&A(企業合併・買収)戦略には、部門売却という戦術がある。これは儲かる事業部門を買収後、高値でばら売りし、買収金額を上回る収入を得たあとは、本体も解散させるという冷酷な遣り方。欧米では合法である。

 日本の新聞は「台湾の」鴻海と書いているが、経営者の郭台銘が台湾人であっても、すでに主力工場は中国にあり、ピーク時には120万人の中国人を雇用していた。鴻海は主としてスマホ部品、液晶パネルの生産をしており、アマゾンが最大の顧客だが、その工場は「奴隷工場」と悪名が高い。かつて深センの工場では9人から11人が飛び降り自殺をして、企業モラルが問われた。工場建物の吹き抜けに金網やネットを張って、従業員の自殺を防いだ。
▼「趙家のひとびと」とは?
「趙家の人々」という隠語があるように、中国で台湾人企業が大成功を収めている背景には中国共産党とのなにがしかの密約が存在するはずである。「趙家の人々」(高級幹部のファミリー)の利益にならない、共産党との連携がない民間企業は、そうしなければ必ず潰される。
 旺旺のように新潟の岩塚製菓のノウハウを学び、せんべい、菓子などで成功した台湾企業は大陸に進出し、いまでは中国共産党の代理人になりさがっている。台湾で何をしたかといえば、『中国時報』を買収して北京と同じ論調のメディアとし、さらに尖閣問題では、蘇澳港の漁船団を組織して尖閣付近へ海上デモを組織化したときの胴元だった。
 つまり鴻海精密工業は純粋な民間企業、或いは台湾企業とみるのは大層危険である。共産党の息がかかり、日本の優れた技術を合法的に取得するためにシャープ買収に熱を燃やしているのである。

 もう一つは買収資金である。
 非常手段として中国国有銀行から融資を受け、人民元が高い裡に手に入れようとする思惑は見え見えだが、もし社債発行、もしくは増資という手だてで買収資金を調達するとなれば、社債の格付けはB以下になる可能性が高い。先日も、中国一の富豪・王健林の経営する企業(大連万達集団)の社債はS&P社がBランクに格下げした(「トリプルBプラス+」から「トリプルB」。つまり投資不適確に近い格付け)。欧米、ウォール街は中国企業の先行きを真っ暗と認識しているからである。
 万達集団はハリウッド映画(レジャンダリーエンターティンメント)、映画館チェーンなど海外の企業を「爆買い」してきたが、有利子負債は巨額に達しており、さらに本業の不動産業不振で売り上げが四割落ち込んでいるからだ。

▼それにしても、中国企業の海外老舗企業の「爆買い」はなぜ続くのか?
 さはさりながら、中国企業の海外老舗企業の「爆買い」はなぜ続くのか?しかも粗雑で拙速で、何かに取り憑かれたような買収である。COSCO関連企業はギリシアのピレウス港を買収し、中国化工はスイスの大手農薬「シンジェンダ」を買収した。ほかにも安邦保険はNYの象徴ウォルドルフ・アストリアホテルを、中国化工はイタリアのタイア「ピレリ」も買収した。紫光集団は半導体大手のマイクロン・テクノロジーとディスク装置のウエスタン・デギタルを買収し、ハイアールはGEの家電部門を。
 最大の理由は中国企業の焦燥、つまり人民元下落、このまま行くと暴落するが、その前に、しかもドルと人民元が交換できる裡に買ってしまえというのが通底する心理ではないのか。」(引用終り)

 つまり、「台湾の」鴻海であっても、実質的に裏で操っているのは中国であるということ。日本の優れた技術を合法的取得を狙っていること。そして、中国崩壊を目前にして、世界の優良企業を金の力で買いあさる、つまり乗っ取ってしまおうという戦略の一環にシャープ買取は位置づけられるということだ。

 しかし、日本の経済マスコミはそういう危惧はとんと抱いていないらしい。ふつうなら、産業革新機構による出資を応援しそうなものだが、鴻海を応援する記事を書いている。日経などは昔から中国の手先となって働いてきたから当然のことかもしれないが、日経ビジネスの次の記事をみてほしい。
シャープ、土壇場で機能したガバナンス 社外取締役が革新機構案に「ノー」
              日経ビジネス編集委員 大西康之


 産業革新機構による出資で決まりかけていたシャープの再建計画が土壇場でひっくり返った。既定路線に待ったをかけたのは社外取締役だ。約7000億円超を出すという鴻海(ホンハイ)精密工業の案を蹴って、約3000億円を出資する革新機構案を選んだのでは「取締役として善管注意義務違反に問われかねない」という危機感があったのだろう。
 …シャープは両者の案を比較表にまとめ、参考資料として2月4日の決算取締役会に付した。社外取締役の一部が資料を見て顔色を変えた。
「(出資額がホンハイ案の半分に満たない)革新機構案を選んで、株主に合理的な説明ができるのか」

 週末に郭会長が具体案を示すまで、ホンハイは当て馬に過ぎず、シャープ再建は「革新機構案ありき」で調整が進んでいた。だが、郭会長が条件を釣り上げ始めたことで、まず主力行の一つ、みずほ銀行の態度が変わった。ホンハイ案の方が銀行のダメージが少なく、うまくすれば出資金をホンハイに貸し付けることができるかもしれないからだ。 

 一方、もう一つの主力行である三菱東京UFJ銀行は、革新機構案を推していた。シャープの執行部内にはホンハイに対するアレルギーがあり、4日の取締役会は紛糾した。ホンハイにも交渉権を与えることを決めるのが精一杯だった。

 郭会長はシャープの液晶技術を高く評価しており、特に東南アジアで浸透している「SHARP」ブランドにも魅力を感じているようだ。アップルのスマートフォン「iPhone」の受託生産など、エレクトロニクス産業の黒子に徹してきた郭会長には「自社ブランドで勝負したい」という野望がある。
アップルがホンハイの背を押した?
 シャープの経営が傾いて困るのが、iPhoneなどの液晶ディスプレーをシャープから調達しているアップルだ。アップルにとっては韓国のLGエレクトロニクス、日本のジャパンディスプレイ(JDI)、そしてシャープなどが健全に競い合い、高品質なディスプレーを安く供給してくれるのが理想である。シャープの液晶事業とJDIが統合され、調達先が減る状況は好ましくない。そう考えると、アップルがホンハイの背中を押した可能性もある。
 シャープの高橋興三社長は4日「1カ月程度で結論を出したい」と語った。その間にホンハイは資金調達のメドをつけなくてはならない。シャープの社外取締役が納得する支援案を革新機構が出してくる可能性もある。シャープの再建パートナーとしてホンハイが頭一つ抜け出してはいるが、しばらくは予断を許さない状況が続くことになる。」(引用終り)

 ここには日本というものがない。そして中国への危惧というものもない。単に経済合理性だけの判断だけだ。安倍首相はこの事態を知らないのだろうか。
 一私企業のことに口は出せないということか。おかしいでしょ。ケータイの安売りはいかんとケータイ会社に固い命令を出したじゃありませんか。ケータイの端末ゼロ円問題より、シャープの問題、中国が関わってこなければ国は当然静観していていいが、中国が裏に見え隠れするなら、放っておくのは国益に反するんじゃないですか


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