バターが不足しているらしいが…

 昨日今日のニュースで突然バター不足を伝えていた。
「農林水産省は26日、前年度に引き続き品薄が懸念されているバターについて、10月末までに追加で1万トンを輸入する方針を固めた。スーパーなどの店頭で品切れが起きていた。…」(日経)
 
 女房に言わせると、「バターが不足したって使わなければいいだけ。家じゃバターなんて全く要らないよ」といっている。不足の理由をNHKテレビでは、夏場に弱い乳牛がこの暑さにバテているとか。
 農水省が1万トン輸入するといってたけど、TPPが成立すれば酪農業は壊滅するかもしれない、個人的にはどうでもいいことだけど…、と思っていたが、今日配信されたメルマガ「10秒で読む日経 佐々木の視点・考え方」に、「このニュース、おかしい」という記事が載っていた。

「1つ目は、同じ生乳から作られる牛乳やらヨーグルトやらチーズ不足と言う話は聞こえないのに、なぜバターだけ不足するの。2つめは、なぜ輸入するの。
 バター輸入には3割の関税の他に、キログラム当たり179円の2次関税と農畜産業振興機構に806円/Kgの上納金を支払うので500円/Kgの輸入原価のバターの輸入後原価は1635円だ。これに流通マージンを足せば、小売り価格は2500円/kgにもなってしまう。こんな高いバターを買うのは、菓子店や業務用を必要とするところに回るだけで一般消費者には手が出ない。
 スーパーでは今も牛乳の安売りが盛んであり、牛乳は余剰気味だ。そして、1Lの牛乳8本を使えば、200gのバター1個と8本の低脂肪牛乳が出来る。日本の生乳生産は745万トンでバター需要は7.5万トンだからたった1%しかない。生乳余剰分のわずかをバター&低脂肪牛乳に回せば、たちどころにバター不足は解消される。
 こうした需給調整が出来ない訳は、農水省の価格政策にある。飲用向け(つまり牛乳用)生乳価格は100円/Kg、チーズ向けは98.21円/Kg、バター向けは82.8円/Kgとなっている。この価格は本来、酪農家と乳業メーカーの自由契約なのだが、税金による補助金がかなり支払われるので、事実上は官定価格なのだ。
 こんな値段設定なら、酪農家はバター用に生乳を売らないのが当然。要は、農水省が現在のバター不足を仕掛けたのだ。国内産バターを作らせず、輸入バターを関税と天下り団体への上納金でバカ高にすることで日本に起きたのは、異常なまでのマーガリン普及。トランス脂肪酸を含み、身体に悪いマーガリンが低価格ゆえバターの代替となった。国内酪農家を守るための高い関税・輸入規制は、バター代替品を普及させることで生乳市場を縮小させ、酪農家の首を絞めたのだ。」(引用終り)

 読んでももう一つよく理解できないけど、バターの元になる牛乳自体は余っているらしく、生乳余剰分のわずかをバターに回せばバター不足は解消されるとのこと。そうならないのは、買取価格の差にあるらしい。バター価格は安いので酪農家はバター用に生乳を売らないのだ。つまり、暑くて牛がバテているからでなく、農水省の政策がバター不足を作ったと。それは輸入バターの規制により国内酪農家を守るためだったが、それ自体がマーガリンを普及させすぎ、乳市場を縮小させ、酪農家の首を絞めたのだということらしい。つまり、酪農家のためにやったことが逆に酪農家の首を絞めたんだということか。

 これだけ読むと、輸入規制の撤廃をすれば消費者に安いバターを届けられるということになって万歳ということになりそうだが、そうなったらなおさら酪農家は生き残っていかれなくなるはずだ。佐々木氏の考えに安易に賛成もできない。

 テレビの情報は全く事実を伝えていないが、それを批判する批評も安易に納得すると足をすくわれてしまいそうだ。自分で情報を集めて確かめるしかないようだ。

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この記事へのコメント

さきと
2015年05月27日 21:48
突然ではなく、昨年からずっとです。ニュースのタイトルは「バター、今年も品薄か…業務用を緊急輸入へ」。確かに一部の乳製品だけが品薄というのは自由競争では起こりそうもありません。こちらは昨年12月の記事です。

http://hbol.jp/15641

「自分で情報を集めて確かめるしかないようだ。」
そういう姿勢を尊敬します。
管理人
2015年05月28日 21:09
 さきとさん、ご教示ありがとうございます。
バター不足は昨年からでしたか。知りませんでした。「10秒で読む日経」に引用されていた記事にも「前年度に引き続き品薄が懸念されているバター…」と書かれていましたが、ついスルーしてしまいました。

 教えていただいたサイト記事を読んで、「バター不足は、農水省の方針によって生じた人為的な問題」ということがわかりました。農水省の介入が様々な弊害をもたらしていることがよくわかります。

 単に農水省の失政なのか、その解決策は、農業ジャーナリスト浅川芳裕氏の指摘する規制の廃止と自由化なのか、でもそう簡単なことではないようにも思います。
「規制はだめ、自由化万歳」は、新自由主義そのものですし、農業政策自体に問題があることはわかりますが、早急な解決策は求めないほうがいい。大阪都構想のように。

 それにしても、テレビというメディアはこういうときに何の役にも立たないですね。

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